いきなり野球場である。本屋から喫茶店へ行って話したりしたけど、日本と違う所（話のネタになりそうな事）が無かったのではしょる。

　野球場とはいえ、今は球場の外。野球場の周りは絶好の商売の場所というのは韓国でも同じ。そこらかしこに食い物を売っているおばちゃんがいる。そう、何故かおやじでなく、おばちゃんが多いのだ。日本で言うと行商のおばちゃんの雰囲気。売っているのは、キム[ン]パ（海苔巻）、トゥク（餅）、何かの干物、ジュース、ミネラルウォーター等。あまり人によって品揃えが変わったりはしないようだ。
　中に入ったら飲み物とか高いだろうという事で、餅とミネラルウォーターを買う。ミネラルウォーターは凍らせてあって、結構親切。

　さて、球場。ＭＦが贔屓にしているチームの方に行く。ちなみにチーム名は忘れた。韓国で最大のビール会社が出資しているチームという事は覚えている。で、席に座ろうとしたのだが、汚いのである。鳥のフンで。折り畳み式でないので、通常の露出面積がでかいせいもあるだろうが、それだけではない。日本のサッカー場（国立競技場、駒場スタジアム等）もこんな感じの席だったが、鳥のフンが落ちていた事は無かったと思う。悪いが韓国の球場は掃除があまりされていない様だ。いや、席全面が汚い訳じゃないから掃除してないという事はなさそう。鳥が多いのか、掃除をした時間が悪かったのか。どういう理由にせよ、席に鳥のフンが散乱しているという現実は変わりない。
　それなんで、先ほどした買い物のビニール袋を尻に敷いて座る。他の人はどうしているんだ？と思い、周りの人を見てみる。新聞紙を敷いている人やレジャーシートを敷いている人などがいる。さすがに状況を熟知している。対策も万全である。

　試合前。グラウンドになにやら看板やシートがいくつか置かれる。聞くと、ゲーム前のアトラクションの様なもので、選手がノックをして打球がその的に当たるとそこに書いてある商品がもらえる、という代物らしい。景品は冷蔵庫とか、超高級な製品では無い品物だった。そりゃあ、お遊びな催しで高価な品を取られたらたまらんだろう。
　そういっているうちに試合開始だ。

　応援合戦が始まる。主に攻撃側が応援する。日本でも同じだとは思うが、応援団長らしき人物がいて、応援席に作られた仮設舞台に立ち応援を仕切っている。リズムよく応援を盛り上げ、それが最高潮に達した頃、ピッチャーが球を投げる（ここで牽制球など投げようものならブーイングの嵐がおこると思われる）。打てばもちろん大歓声、討ち取られるとため息。
　ある選手がバッターボックスに立った時、その歓声が一段と盛り上がる。聞くと、前のシーズンでホームラン王に輝いた選手という事だ。
　みんな名前を大歓声で呼ぶ。ＭＦもご多分にもれず叫んでいたが、名前が良く分からない私は腕を周りの人間と同じ様に振り上げるだけですませる。

　ここで応援するときの道具について説明しよう。日本ではメガホンが主流と思うが、こちらではメガホンをもっている人間は見なかった。変わりに長細い風船らしき代物を二つ対で使う。風船とはいえ、材質がゴムではなく、空気をいっぱい入れるとその二つをぶつけた時ちょうどメガホンをたたいた時の様な音がするのである。そして応援団長がそのぶっつけタイミングを指示し、辺り中がその音で満たされるのである。
　そしてこの音風船（勝手に名づけた）の良いところは柔らかい所である。なぜ柔らかいとよいか？　ぶつかった時痛くないからである。そう、みんなぶんぶんそれを振り回すので、頻繁に当たるのである。まともに振り落とされる事はないが、かするぐらいはしょっちゅう。これが固い材質でつくられていようものならケンカが日常茶飯事になっている事だろう。おそらくみんなそんなのが当たる事なぞ気にしていないのだろう。自分も当たる代わりに自分も人に当てる。そんな感じだった。

　で、試合の方だが、こっちの応援しているチームはなかなか点が入らない。ヒットはあるのだが、いかんせん２アウトになってからのヒットでうまく点に結びつかない。相手はというと、こちらの投手がフォアボールを頻発しているところをうまく利用して、ちょいちょい点をかせいでいる。効率が良い。フォアボールはあまり重要そうに見えないが、こうしてみるとかなり重要な事が解る。
　７回になると、総立ちでの応援となる。やる事は同じだが立ってやっている分、気合というかそういうものが違う。
　が、その懸命の応援にも関わらずこの回も得点無し。ＭＦは最後まで見ると混むし、時間も遅いから球場を出る事を提案。同意。

　外はさすがに真っ暗だった。バスに乗り地下鉄の駅へ。そして翌日の待ち合わせを決め（結局同じ時間と場所になった）ＭＦと別れるのであった。

　野球の感想だが、周りの人間といっしょに選手の名前を叫んだりして波にの ればさらに楽しめると思う。日本でも同じかな？