「朝飯食べた？（韓）」と聞かれる。

「まだ食べてない（韓）」と答える私。

　このおっちゃんは、昨夜のチェックイン時に私が名前をハングルで書いた時から笑顔をふりまいてくれている。よろしい事だ。

「○×▲＊？！！”＄＃”＃（）」

　おいおいネイティブ韓国語はよしてくれ。

　聞き取れる単語からルームサービスがあって中華料理と韓国料理があってそれを注文できる時間帯を言っているという事は解るが、せめてもう少しゆっくりしゃべってくれ〜〜　という事で、

「すみません、韓国語得意じゃないんで、英語でお願いします（英）」
と話かけると、おっちゃん、

「‥‥‥（困惑顔）」

　‥‥ちょっとまて、英語出来ないのか？

　少々の困惑顔の後、メモ用紙に二つの電話番号を書くおっちゃん。やはり英語が出来ないらしい。ぬぅ、いくら安宿とはいえ、インターネットの安宿紹介業者に登録してあるのに英語出来るスタッフ置いてないとは。なんたる事だ。
　なんにせよ、この電話番号に電話しろという事らしい。
　面倒くさい。外に出て何か買ってきたい。が、所詮小市民ケーンな私は、それを言うことが出来ない。
　とりあえず、電話の使い方だけ教えてもらって部屋に戻る。

　さて、電話の使い方を教わったのは飯を頼む為ではない。航空券のリコンファームをしなければならないのだ。この前は旅行代理店でチケットを取ったし、帰りが水曜だったのでリコンファームをせずに大丈夫だったが、今回はインターネットでの購入。しかも送られてきた書類には、リコンファームをしないと予約取り消しになる場合ある、と脅しが。ユナイテッド航空の事だから単なる脅しでもないとは思うが。
しかし、思ったのだが英語か現地語しゃべれない人はどうするのであろうか？　まったくもって海外格安航空券は危険である。

　そして部屋の電話から早速電話する。

「＊‘＠”＄＃＃＆！””＃￥＝（韓）」

‥‥聞き取れない‥‥
しかし、ここで止めると帰れなくなる恐れがある。

「ユナイテッド航空ですか？（韓）」
「はい（韓）」
「リコンファームをしたいのですが（韓）」
「％＆＃’＆％’＆＊＋‘‘＋＊＠＠＊＋＊＋（韓）」

　だぁああぁぁぁああぁ！！！！

　なぜ、テキストにあるような簡単な受け答えをしてくれない！！！
　それとも言っている事は簡単だけど、単に聞き取りが出来てないだけか？
　どっちにしろ悲しすぎる。去年より少しは上達したものの、私の韓国語って所詮この程度なのか？とショックを受ける私だった。

「‥すいません、英語出来ますか？（英）」

ささやかな屈辱感。そして以下英語会話。 「あー、（少しの間）　名字は何ですか？」
「タナカ」
「タナカエイジさん？」
「はい」
「７月＊日＊＊時＊＊分発ＵＡ＊＊＊便ですね」
「そうです」
「はい、わかりました。それでは」

受話器を置く。無事に終わった。これで予約待ちの人間にチケットを持っていかれる事もなくなった。よかったよかった。

‥‥‥ん？　って、何で名字だけで、名前まで解るんじゃい！　田中という名字の人は俺一人しかいなかったのか？　便名を言った後ならいざ知らず、まだ言っていなかった！
何故解る？　なんなんだ一体？　はっきり言って謎である。いまだに答えは出ていない（というか本人に聞かないと解らない）。

　ここでもっと悩みたい所だが、もう一個所電話をかけなくてはならない。ちなみに電話でなくポケベル。

　ここで、何故去年行った韓国に今年も行ったのかの説明をしよう。
　去年韓国語を習って、そして韓国へ行った。そこで待ち受けていたのは簡単な言葉しか覚えていなかった自分。買い物程度は不自由無く出来たが、それ以外は目茶目茶であった。そして韓国から帰ってきた後も、ちまちま少しずつ勉強をしていた。
　んで、そこまですると身につけた技能を使ってみたいと思うのは万人共通。しかし、使ってみたいと思ってみても、身の回りにある韓国語は焼き肉屋でのメニュー程度。まともに使う機会がない。
　そこでインターネット検索。あるわあるわ韓国関係のＨＰ。その中でしっかりしてそうなページの中のペンパルコーナーに申し込む。
　そうして韓国語を使いながらメール交換すること数ヶ月。本当は今年は台湾あたりに行きたかったが、なんとなく小市民ケーンな私は韓国以外の国に行きづらくなってしまっていたのである。そして連絡方法がポケベルという事。

　ポケベルとは言うが、日本のそれとはちょっと違う。ちなみに「ポケベル」とはドコモの商品名であって、正式名称は「ぺージャー」か「ビーパー」である。外国人に「ポケットベル」と言っても通じないので気をつけよう。けどポケベルの方が日本では通りがいいので以後ポケベルで通す。

　で、どこが違うかというと、韓国のポケベルは音声を記録するのである。
　使い方
１：ダイヤルする
２：音楽が聞こえてくるので”２”を押す
３：女性の声での案内の後、発信音が鳴るので、その後に声を吹き込む
４：用件を吹き込みおわったら”＊”を押す
５：受話器を置く

　である。そうすると受け取り側のポケベルが鳴る。受け取り方法は解らないが、多分特定の電話番号にかけて内容を確認するのだろう（おそらく、ダイヤルの後のボタンが”２”でなく”１”と思われる）。いわば、ポケベルと携帯の留守電サービスの合体形。

　日本のポケベルは番号の後、かけて欲しい電話番号を押したり、複雑な番号を押してメッセージを送ったりしていたが、こっちのほうが使いやすい。
ポケベルだと、遊び感覚でメッセージ送ったりできるという点でよろしいかもしれん。

　そして、無事にホテルの部屋に電話がかかり、待ち合わせ場所を決めて電話を切った。その時間までＴＶでサッカーを見る私だった。