韓国旅行記２日目その３
さてと今度は先ほどの宮殿で日本語のガイドがあると説明を受けた「昌徳宮（チャンドックン）」。
隣あっているだけに今度は迷わない。日本語のガイドは12:40からだ。まだ数十分時間がある。とりあえずチケットだけ買っておこう。もう発音は大丈夫だと思うし。ガイドがあるだけに高い。他は７００Ｗの所を２２００Ｗときたもんだ。発音。
「オルンハナチュセヨ」
おなじみの言葉。‥が、今度は通じてないらしい。発音が甘かったか？ 私が差し出した１万Ｗ札と１００Ｗ硬貨二枚を見て判断している。一勝二敗だ。それだけならいざしらず、
「One？（一枚？）」
等と聞いてきやがった。こっちも通じて無かったようだ。
「ハナ！！（一枚！！）」
ちょっとムッとして怒鳴る。びびったらしい。
「ハナ、」
と言いながら焦ってチケットを差し出す。よかよか。
辺りを見回すと、お土産やと一緒に休憩所が。こいつはラッキー（というより、ガイド時間待ち人の為の物だろう）。まずは土産屋に行く。一発で私が日本人であることが解ったらしい。
「コレガイドブック。ニホンゴ」
など色々なニホンゴで語り掛けてくる。何か買おうと思い、ガイドブックを買うことに決める。そして超プレイン韓国語で買い物を済ませる私。すると、ちょっと不思議に思ったのか、その店員さん、
「ハングクマルハシネヨ？（韓国語出来るの？）」
と聞いてきた。さぁ、どう答えよう。”少ししか話せません”などという難しい文法は覚えてない。何かうまい言い換え方法は‥‥と考えていると、やっぱり相手がけげんそうな顔。ヤバイ、早く答えなくては‥と出てきた言葉。
「チョム（ちょっと）」
同時につまむように指を差し出す。ボディランゲージのフル活用だ。
「アァ、チョム（あぁ、ちょっと）」
と納得するようにうなづく、が、同時になんか悲しそうな顔をする。えぇやん別にそんな悲しそうな顔せんでも。ちょっとでも努力したこと認めてーな。と、似非関西弁な思考回路になってしまう私だった。
さて、そこでガイドの時間になるまでしばらく休む。
ガイドの時間近くになり門の近くに行くと、日本人が２０人ぐらいわらわらと現れる。そしてガイドの登場。日本のバスガイドの様な格好。ここはやはり民族衣装であるチマチョゴリを着て欲しいものだ。
ガイド開始。う”‥このガイドさんの日本語はちとキツイ。聞き取れない事は無いが、アクセントに無理がある。と最初思っていたが、そのうち慣れたらしく、ちゃんと聞き取れる様になった。
９年前まで日本人のマサコ様が住んでいたとの事。政略結婚だったと。この宮殿は一年前から公開しているとの事。韓国の文化と、この建物のどこがその文化に反映しているのかとかを説明。男尊女卑の世界だったらしい。オンドル（韓国の伝統的暖房方式。煙のパイプを床に通し、それで部屋を温める）の窯なども見せてもらった。ガイドさんに写真を撮ってもらう。頼む時はやっぱり韓国語で。
で、そんなかんだで終わりに差し掛かろうとしている。ガイドさんと一緒のグ
ループにいた日本人女性２人組が話している。
「ワタシノニホンゴドウデシタ？」
「あ、大丈夫でしたよ」
「アクセントトカハ」
「最初は聞き取りにくかったけど、それ以外はなんともなかったです」
ガイドさんなんか口が止まっている様だ。怒った？
「韓国には日本語学校って多いんですか？」
日本人女性が話しかける。何かに耐えている様なガイドさんの表情。そんなに屈辱的な事なのか？それとも俺の勘ぐりすぎ？と思っていると、いきなり私の方に振ってきた。
「デモ、アナタハカンコクゴベンキョウシテルデショ」
びびった。いきなり来た。何で知ってる？‥ってさっき韓国語で写真お願いしているだろって。
「ネー（はい）」
いきなり表情が変わる。驚いた顔。
「ミョッボンポワッソヨ？（何回来たの？）」
今でこそ訳しているが、この瞬間は意味不明。
「ミョッポン？」
と聞き直しはするが、意味不明という表情を満面に浮かべていると
「ソウルヘハナンカイキタノ？」
と日本語で言われる。そして
「『ミョッポン』ハ、ドレグライ、ヲキクトキツカウ」
と現地人によるワンポイント韓国語講座を受ける。ちなみにハングルでも書いてもらった。
「はじめて」
韓国語で答えられなかった私。さらにびっくりするガイドさん。どうやら韓国に何回も来てそれで勉強したと思ったらしい。
「＊＊‘‘＄％＃＃””＃＠＠」
「え？」
相変わらず値段と挨拶以外の聞き取りが出来ない私だった。
「ドコデベンキョウ？」
「イルボン（日本）」
さらに驚いている。勝手な思い込みかもしれんが、今度のは喜びも混ざっている様な気がする。
「＠＠＠”＃＃＄＄＃＊＊？＞＜＞＋」
ネイティブ韓国語である。しかしこれで答えられなかったら何か悲しい。そこで今までの勉強その他の記憶を総動員し、多分勉強時間を聞いているのだと判断。大体質問の順番からしてそんな感じだろう。聞いてみる。
「シカン？（時間？）」
「ネー」
当たったらしい。今思うと、滞在期間を聞いていたのかもしれないが、会話の流れから言って勉強時間の可能性が高い。
「バルウォル（８、月）」
日本語だと、「ハチ」「ツキ」という感じの答え方である。何ヶ月という言い方は知らない。ま、その場しのぎである。と、ガイドさん、
「パルゲウォル（八ヶ月）」
と言い直してくれた。「ゲ」が日本の「ヶ」に当たる言葉だというのは解った。そうしてまた韓国語ワンポイント講座を受ける私だった。
さすがに、これ以上韓国語で話すのはキツイと判断したらしく、日本語で話しかけられる。
「カンコクゴデキルカラ、モウダイジョウブデスネ」
っと、俺の韓国語力解っているだろうって。
「アーニョ、チョンマン、チョンマン（いいえ、ちょっとだけちょっとだけ）」
さらに続ける、
「ナエハングクマル‥（私の韓国語‥）」
あ‥「通じない」って単語知らん‥、なにか他の言い方‥いいや。
「『通じる』って韓国語で何て‥‥」
素直に聞くのが一番である。
「『トゥンハダ』、ニホンゴツウジルトカ、イウトキツカウ」
と、ガイドさんによるワンポイント韓国語講座。発音は解ったが、やっぱりハングル表記も知っておきたい。と、発音から想像されるハングルをメモ用紙（もちろん常備してる）に書いて、見せる。ハングル書けるの？といううれしそうな顔をして、見る。最初は合っていると思ったらしいが、ちと時間を置き、首を振
って、正しいスペル（？）を書いてくれた。私の書いたハングルだと「トンハダ」となってしまうのだ。例の二つある「オ」の母音のせいだ。そして日本語では「ン」になる子音も二つあり、音価は「n」と「ng」である。私が書いたのは前者、ガイドさんが修正したのは後者だった。そして、「t」の音価を持つ子音が３つあり、私が書いたのはノーマルな奴で、正解は激音と言われる強い「t」だった。最初の文字の３つの部品全部勘違いしてしまっていたのだ。
私の書いた奴
ガイドさんの修正
「日本人には区別、つかない」
と言うと、悲しそうな目をされてしまった。ごめんなさい。日本語に強引に直すと同じになっちゃうのよ。日本でも「ひ」と「し」の発音を区別出来ない人がいるのと一緒なのよ（ちと違うか？）。
と、いう事をしてたらいつのまにか出口だ。最後ぐらいはきれいに決める。
「アンニョンヒケセヨ（さようなら）」
笑顔で返してくれる。
「アンニョンヒカセヨ（さようなら）」
ちなみに直訳は「元気で居てね」と「元気で行ってね」となる。両方「さようなら」の意だが、立ち去る人と居る人で、言い方が違ってくる。
★ここで日本語考察。別れる時「さようなら」と言うが、どういう意味なのだ？と思いを巡らした結果「左様なら」の事だ、と想像。「そういう事なら」という意味だろう。何か議論やお話をしていて、話が終わって、『そういう事でお別れしましょう』という事なのかな？と思ってしまった。「ただいま」も「只今、家に戻りました」の略だし、「ありがとう」も「こんなことは有り難い（滅多に無い）事です」の略だし、日本語の挨拶は、かなりはしょられている部分があると思ってしまった今日このごろである。