『伊藤博文の情報戦略』佐々木隆著、中公新書1483


 私は、この本を買うにあたって、国際外交の手腕で有名な伊藤博文の事だから、そっち関係の情報戦略かと思ったのですが、国内の政権争いに関しての情報戦争の話でした。

 序章で、政治情報というものがどのような物か、各種伝達手段における利点と欠点などを説明していて、この部分は面白かったです。

 それからは、明治政府の時の伊藤博文関係の派閥とその構成人物の話とかから始まって色々な政権戦争における話を紹介してそこでどのような情報のやりとりがあったかを説明し、それを検証する、という形。

 が、失礼ながらあまり話に滅り張りが無い。出来事と検証が同時に行われていて、読みにくい。先に出来事、後にその検証という形の方が読みやすいと思うのだけど、そうなってはいなかった。そして出来事の方の説明もちょっと足らないと思う(自分の予備知識が少ないだけかもしれんが)。それなんで言いたい事のまとめがうまく出来ていなかった様に思う。本の企画としては面白いと思うのだけど、もうちょっと構成を考えてほしかった。
 とはいえ、新書にしては厚い本だから、苦労して書くこと削っての本だったのかもしれない。

 それでも色々と、当時の政権内の雰囲気を知ることが出来たのでよしとする。
 でも、人にはお勧め出来ない。


新書目次のページに戻る