★★『銀行員諸君!』江上剛、須田慎一郎、新潮新書040

第1章 金は簡単には貸さなかった―江上剛、銀行に就職する
第2章 全ては六行で決めていた―江上剛、本店に勤務する
第3章 みんな呪縛をかけられていた―江上剛、広報部に移る
第4章 開店時には入り口に立つ―江上剛、支店長になる
第5章 もう一度、原点に返ろう―江上剛、銀行を去る

 元銀行員現金融関係小説家と金融専門ジャーナリストが銀行に関して対談したもの。この本の初版が2003年11月。公的資金注入があって、1兆円増資があった頃の話。
 今でこそ各銀行はブイブイ言いはじめたが当時はもう悲惨な状況。それの原因といえばバブル崩壊。
 銀行にいた人と金融専門ジャーナリストとの対談だからもう生々しい(?)話がいっぱい。大蔵省との関係と各行との談合とか、噂に聞く合併後の旧銀行出身者同士の縄張り(権力?)争いまで。
 しかし、支店長職が何年かでどんどん変わっていくって話も不正を防ぐって意味があるのだろうけど、それを利用して無理な融資をバンバンして一時的成績上げて焦げ付く頃には別の人が支店長になってるという事もあるらしく。後任者の人やってられないですな。

 本書で語られている著者の銀行経験の内で大きな仕事の話で総会屋対策とかまぁ危ない人たちとの取引とか関係の清算。警察とかとも協力して支店長とかとも一致団結して当ったらしく、後に銀行内武闘派と思われてしまったり、役員達には煙たがられたようで。そしてジャーナリストとの対談だけあって、そんな時のマスコミとのやり取りに関しても生々しい話が(笑)

 題名の通り、そんな厳しい状況だけど頑張ろうというメッセージを銀行員向けに書かれた本だと思う。
 だけど、自分(銀行員でない)でも興味深く読めた本。何だかんだいって銀行は経済全体への影響を担っている組織。そんな組織の事を知るためにはいい本だと思う。

2008/02/02(Sat)

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