新書の紹介

★★★『科学鑑定』石山昱夫（いしやま・いくお）著、文春新書013

　どんな本かといいますと、帯を紹介するのがてっとりばやいです。

『ＤＮＡ鑑定・血液型・指紋・声紋・毒物検出・司法解剖など、科学捜査を支える技術の一挙公開』

　との事。まさにこの帯の文章通りの内容。

　最近じゃ例の和歌山ヒ素カレー事件でよく科学鑑定が取り上げられてますね。不純物の濃度によって同一薬品同一ロットか解るというのがありましたが、この本には載ってませんでした。

　とまぁ、それは置いておいて、章題だけ紹介すると

１・科学鑑定とは
　これから説明が始まる科学鑑定についてのプロローグみないな部分ですな。

２・医学鑑定
　ここは死因がどうのこうの致命傷がどうのこうの、な話です。

３・個人識別
　ここが一番ページ数を割いており、実際一番重要な部分だと思われます。指紋や声紋、歯の治療歴、古くからある人相書きなど、個人を特定するのに使われる技術の紹介部分です。

４・化学分析
　これはもう薬物毒物検出関係のお話です。あとは毒物でないけど、車の塗料片を科学的に分析して車種を割り出すという事も言ってました。

５・プロファイリング
　FBIでは利用されているという例の奴ですな。日本ではまだあまり普及していないし、認知度も低い。しかも結局分析者の主観が入る事が多く却って問題になる事もあるそうな。

６・ＤＮＡ
　今をときめくＤＮＡです。なんか韓国でクローン人間一歩手前までいったそうな、という事はおいておいて、と。ＤＮＡの分析法と、適用例の章。個人識別でも使われてますが、血縁関係解析に威力を発揮するらしいですな。

　という感じになります。それぞれの章について、その応用例と問題点を挙げていて、使うと便利だけど、間違った使い方するとやばいっすよ、てな雰囲気がありましたね。そういう部分になんか共感を覚えました。

　いやいや、これは面白かったです。犯罪したら逃げおおせるもんじゃない、と認識させてくれる本でした（笑）

　初めての文春新書でしたが、よかったですね。うんうん。