2016年07月
| 『金メダル男』内村 光良著、中公文庫 数年ぶりの小説らしい小説。残念ながら純文学というジャンルではない。既に映画化も決まっているらしい。著者が著者だけに政治的な力も働いているのかという気もしてしまうが、これは映像化しても面白い作品になると思う。というか、おそらく著者が長編コントをイメージしつつ書いたのではないかという気がする。 とかくとお笑いだけの小説に思われるが（もちろんお笑い要素も含まれているが）、一人の男の「一番になる」という信念に基づいた幼少時代から中年時代を描いている。それぞれの年代における、それぞれの状況、それぞれの感情、それぞれの特殊イベントにおける一番トライするエピソード。そして単にそれぞれが独立しているわけではなく、微妙にいろいろ味を加えている。 娯楽小説として読むだけでなく、そんな一人の男の人生を、自分の人生と比べてみるのも（難しいかもしれないが）面白い小説だと思う。 2016/07/30(Sat) |